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ふなばし人脈駅伝

大野和彦さん インタビュー

船橋漁港のハチマキ親父

2015/06/09

魚には最大限の敬意を!

「自分が獲った魚を人任せにしたくない」

魚を運ぶ発泡スチロールケースを広告として活用<br>スズキがめでたい魚であることから「寿寿
魚を運ぶ発泡スチロールケースを広告として活用
スズキがめでたい魚であることから「寿寿"喜」という当て字も考案
――ご自身で会社を立ち上げられたお話を聞かせてください!
漁師として魚を獲れるようになってくると、次第に自分が獲った魚を人任せにはしたくないなと思い始めて「じゃあ自分で売っちゃうか」と思い立ったんです。そこで中仙丸の中村繁久さんと一緒に海光物産(※1)を立ち上げたんです。大学でマーケティングを学んだこともあって消費者目線で考えられる自信もありました。
船橋漁港でのスズキの獲れ高が日本一だっていち早く気づいたのも俺たちなんですよ。これは地元のまち興しになるぞと思いましたね。よりおいしく食べてもらうための技術を“瞬〆”(※2)として商標登録して、それが市場でも評判になったんです。それで発泡スチロールケースにもこだわって広告にしたり。普通は市場で捨てられちゃうんだけど、これなら捨てにくいでしょ(笑) 毎年デザインも変えるんだけど、これが大変なんですが毎年冬の漁閑期の楽しみの一つでもあります。
※1 海光物産・・・大野さんと中村さんが共同代表を務めている会社。魚介類の物流、販売を手がける。

※2 瞬〆・・・魚の活け〆神経抜きの登録商標。大野さんが「瞬間で〆る」「旬を〆る」という意味をこめて発案。

――この箱もそうですけど、大傳丸・海光物産のどちらでも、新しいことを次々取り入れられていらっしゃいます
そうですね。こういった新しい取り組みを通じて、自分たちの仕事であったり船橋の魚であったりを発信していきたいと思っています。
漁師は照れ屋が多いんですよ。宣伝しようとしても「いや、俺はいいよ」なんて言っちゃって。だからかわかりませんが、生産者の顔が見えるって農作物には多いんですけど、漁業だとなかなか無いですね。
で、そんな照れ屋な連中のためにっていうのと、さらに新しいことをってことで『漁婚』っていうイベントをやるんです。うちの乗組員の平均年齢が29.7歳と若いんですね。で、そいつらに聞いたらみんな彼女がいない。心配になって「よっしゃ、俺が何とかしてやる」なんて言っちゃって、じゃあやるかと一念発起して立ち上げたのがこのイベントなんです。
※漁婚・・・海光物産が主催する、いわゆる“まちコン”イベント。未婚の漁港関係者と未婚女性を対象としている。

「魚の魅力、魚の持つ価値を最大限に引き出したい」

――お話にも出ましたが若い船員さんが多いですよね
これまでは漁師の求人情報なんて発信しているところが少なかったし、漁師になりたいけどどこにいけばいいかわかんないという若い子が多かったと思います。うちはホームページに連絡先や募集要項を載せて、オープンな受け入れ体制をとっています。そういうのもあって若い子が入って来やすいのかな、とは思いますね。でもこの世界って新陳代謝が激しいんですよ。始めてみたけど飽きたり、逆にもっと新しい漁をしてみたいって違う船に行ったり……でもそうじゃなくて、船橋っていうまちを知って、根ざしてもらいたいなとは思いますね。
自分が入ったときは5、60代ばっかりで若いのは自分しかいなかった。若いもんがあれもやっとけこれもやっとけっていう感じだったんですが、そうじゃなくて自分はチームワークを大事にしたいんです。それぞれが何でも出来て、お互いを支えあえるようなチームにしたいと思ってます。
――漁業に対しての強い思いが感じられます!
われわれがスズキ漁で水揚げ日本一っていうのはあくまで“図らずも”ってところなんですよ。日本一になりたくてスズキを狙って獲っているわけではなくて、一生懸命漁をしていたらスズキがたくさん獲れた、それが日本一になったというだけなんです。それだけにスズキに対して敬意を払う、というのはとても大事なことじゃないかなと感じています。魚の魅力、持つ価値を最大限に生かしたいという思いが、“瞬〆”であったり、「千葉県生まれで江戸前育ち」っていうキャッチフレーズにあるんです。
それだけに船橋で獲れた「江戸前のスズキ」をブランド化して、ゆくゆくは2020年のオリンピックでのオフィシャルフード認定を目指しています。それまで、またそれ以降も持続可能な漁業を展開していくには声を上げて行動していかないとな、と思っています。伝統であり受け継がないといけないとも思っているし、それをなくしてはおじいさんの思いに応えられないかな、とも感じています。
――船橋への思いを聞かせていただけますか?
漁港というある意味特殊な空間、さらにそこで日本一の水揚げのあるスズキ漁を行っているというのはまちとしてのオリジナリティですよね。それを残していくということ、ここで漁業をやっていくことが、船橋の価値を高めることにつながるんじゃないか、と考えています。

――最後に船橋市民の方々にメッセージをお願いします!
漁港に来て実際の水揚げを見てみてください。ここで小売もできるし、ぜひ漁師とコミュニケーションしてもらいたいと思います。おまけもできるかもしれないしね(笑) ぜひ漁港という資源を楽しんでください!

あとがき

大野さん、ありがとうございました!

漁業を通してのまちや人に対する熱い思いをひしひしと感じさせていただきました。新しいことに挑戦することをいとわず常に先へ先へとまい進し続ける、そんなところに海の男のたくましさを見た気がします。
大野さんを慕うかたは大勢いらっしゃいますが、それも大野さんのおおらかな人柄によるところが大きいのだろうと感じました。

さて、次にご紹介いただいたのは「いつもお世話になっている整体師の先生で、本当に人柄のいい方」だそう。大野さんをはじめ船橋でご活躍の方々をその手で元気にされているということで、果たしてどんなお話をうかがえるのでしょうか?

それでは、次回更新をご期待ください!
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