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GO!GO! 千葉ジェッツ

《前編》大野篤史ヘッドコーチが歩んだ6年。“JETS Spirits”がチームに浸透

市民球団としての誇りを胸にチームを鼓舞し続けた名匠が今季限りで退団

2022/06/30

千葉県初のプロバスケットボールチーム「千葉ジェッツ」の情報をお届けする千葉ジェッツ公式応援サイトです。どのメディアよりも熱く深い愛情を持って取材記事を更新していきます。
試合中の厳しい表情とのギャップで、“あつしスマイル”のワードも定着
試合中の厳しい表情とのギャップで、“あつしスマイル”のワードも定着
試合開始直前の船橋アリーナは、暗転した暗闇にいくつものライトが走り、スターティング5として名前をコールされた選手たちを追いかける。最後に名前を呼ばれるのは大野篤史ヘッドコーチだ。演出の炎でうっすらと明るくなるベンチ前で、大野HCは両サイドにゆっくりと丁寧にお辞儀をする。ホームを守るという強い気持ち。支えてくださる方に恩返しをしたいという感謝の気持ち。その気持ちが凝縮されているようで、つい見入ってしまう。

千葉ジェッツの大野体制は、Bリーグの誕生とともにスタートした。
前のシーズンに思うようなプレーができず、どこか自信なさげだった選手の目は、試合ごとに輝きを戻していった。順風満帆だったとは言えないかもしれないが、シーズンごとに底力をつけていった。優勝を目指すチームから、優勝を狙える強豪チームへと大きく成長も果たした。変貌を遂げながらこの6年でチームは成熟し、あるカルチャーが根付いた。それは大野篤史ヘッドコーチが、この6年間変わらずに選手に伝えてきたことだった。その大野HCが、今季限りで退団する。
試合前、丁寧にお辞儀をする大野HC
試合前、丁寧にお辞儀をする大野HC

“Be Professional”を掲げた覚悟、そしてチームカルチャーに

初対面は、2016年の夏。いまでもそのときに聞いた話は鮮明に覚えている。技術だけではチームは強くならない、また観たいと思ってもらえるチームにする――。そこで掲げられたスローガンが、“Be Professional”だ。コートの中だけではなく、練習に向かう姿勢から、コートを離れたときの振る舞いまで、プロ選手であることを求めた。

それ以来、厳しく、愛情を持って、ブレない姿勢を見せてきた。もちろん、何の迷いもなく6年間指揮を執ってきたわけではない。勝てなければ、厳しい言葉がSNSのダイレクトメールに寄せられる。多くのチームがそうであるように、当然フロント側からは勝てる戦術を求められる。「目先の勝利を取りに行くべきではないかと迷ったときもあった」と言う。そんなとき、「今のままでいい。大野さんを信じている」と言い続けたのが、千葉ジェッツ創設時のキャプテンであり、大野ヘッドコーチを口説いて招聘に成功した佐藤博紀さんだった。

ホームゲームでは、佐藤博紀さんがつけていた永久欠番「0」番のフラッグが掲げられる。そして寄り添うかのように、7つのチャンピオンフラッグが並ぶ。天皇杯三連覇、三度の東地区優勝、そしてBリーグ制覇だ。これらすべてが、大野HC就任後の輝かしい成績だが、大野HCが勝てる戦術をとった成果ではない。それはチームとしての意識改革がもたらした結果だと言える。
佐藤博紀さんの永久欠番「0」と、6つのチャンピオンフラッグ。ここに今季の東地区優勝フラッグが並ぶ。
佐藤博紀さんの永久欠番「0」と、6つのチャンピオンフラッグ。ここに今季の東地区優勝フラッグが並ぶ。

“Be Professional”から“JETS Spirits”に、そして“Push the Standard”

昨シーズン、ついにリーグ制覇を遂げた千葉ジェッツ。初めて笑ってシーズンを終えることができた。優勝者だけに許されるネットカットで、大野HCは最高の笑顔を見せた。自宅には、選手が拳を突き上げている天皇杯優勝時のポスターが額に入れられて飾ってある。ネットは、そこにコレクションの一つとして置かれた。
悲願のリーグ制覇、そしてネットカット
悲願のリーグ制覇、そしてネットカット
アルバルク東京に敗戦して準優勝に終わったときは、「ルカの背中はまだまだ遠かった」と語った。背中を追い続け、ようやく手中に収めたリーグ制覇。花道を通って戻るときに、「おめでとう!」「よかったね!」と声をかけられたことが、本当に嬉しかったという。それは、「ずっと支えてくれているブースターさんに、やっと恩返しができた」瞬間だった。「選手が本当にいい笑顔で表彰もネットカットもしていたので、それを見ているだけで幸せでした」

5年かけて言い続けてきた“Be Professional”は、古株の選手から新加入の選手にも植え付けられるようになった。もはやスローガンではなく、当たり前に持っているスタンダードな精神となり、チームカルチャーとなった。それこそが“JETS Spirits”だ。そして今シーズンは、“Push the JETS Standard”をチームスローガンとして掲げ、千葉ジェッツのカルチャーである、ハイエナジー(常にエナジー高く)、タフ(常にタフに)、ステイトゥギャザー(常にチームで戦う)という3本の幹を太くし、スタンダードを押し上げることに挑戦した。
妥協などない。その姿に幾度となく勇気をもらった。
妥協などない。その姿に幾度となく勇気をもらった。

市民球団という譲れない想いが、チームを強豪へと押し上げた

昨シーズンの優勝記者会見において、大野ヘッドコーチは開口一番、「僕たちは市民球団」と言った。「僕たちは市民球団で、ずっと支えてくださっているスポンサーのみなさま、地域のみなさま、たくさんのブースターのみなさまのおかげで、ここにいると思います」。ご存じのように 千葉ジェッツは株式会社ミクシィと資本提携をしており、経営の観点から言えばオーナー企業を持っているということになる。しかしチームのスピリッツとしては市民球団であることを貫き、チームを支えるすべての人に感謝し、それがジェッツの歴史にとなっていると、大野ヘッドコーチは考える。
2020-21シーズンの優勝チーム会見にて。
2020-21シーズンの優勝チーム会見にて。
今シーズンが始まる頃、こんな話をしていた。

「6年前にヒロ(佐藤博紀さん)が横浜に会いに来て、こういうチームを作りたいと熱い想いを聞かせてくれました。千葉ジェッツを変えるためにここに来て、僕は本気で人生をかけてきたし、ヒロも人生をかけてきました。チームが変わったという実感もあります。『千葉ジェッツふなばしを取り巻く全ての人たちと共にハッピーになる』という言葉がとても好きです。でもそれを成し遂げるには、その言葉に魂を乗せなければいけないし、まずはリーダーが本気で挑まなければいけない。僕らの試合を観て何かを感じてほしい、心を惹きつけたい。それこそがジェッツをとりまくすべての人がハッピーになることだと、僕は思っています」

この強い想いが、選手を全力で試合に立ち向かわせ、チームを強豪へと押し上げ、私たちに感動を与えてくれたのではないだろうか。
2020-21シーズンの公式イヤーブックでは、佐藤博紀さんとの対談で絆を語った。
2020-21シーズンの公式イヤーブックでは、佐藤博紀さんとの対談で絆を語った。

6年目の締めくくりは、感謝とリスペクトの言葉

最後の記者会見にのぞむ大野HC
最後の記者会見にのぞむ大野HC
試合中は火花を散らしても、ヘッドコーチの間には深い絆がある。背中を追い続けてきたアルバルク東京のルカHCから、優勝時には祝福のメールが届いたという。同時に、ファイナルで対戦した宇都宮ブレックスの安齋竜三ヘッドコーチからは、「ファイナルで負けるというのは、こんなにも悔しいものなのか」という連絡が来た。

その宇都宮ブレックスとは、今シーズンのラストゲームとなったチャンピオンシップのクォーターファイナルで対戦し、敗戦した。2022年5月15日のことだった。「おめでとう。今度は竜三が笑う番だよ」。試合直後、大野HCは安齋HCに声をかけた。

「竜三と5年間、しのぎを削ってきました。ブレックスさんのホームでズタボロにされたときから、ああいう強いメンタリティが必要だと、この6年間やってきましたし、常に意識して戦ってきた相手です。ヘッドコーチって、楽じゃないです、実際。タフだしストレスたまるし、その中で彼と同じく、長い間同じチームを見てきたというところで、彼の気持ちもすごくわかりますし、常に切磋琢磨してきたので、彼に精一杯頑張ってほしいという思いを込めて話しました」
最後にブースターに伝えたのは、感謝の気持ちと宇都宮ブレックスへのリスペクト
最後にブースターに伝えたのは、感謝の気持ちと宇都宮ブレックスへのリスペクト
実はこの日の試合後、コートの中央で、大野HCはいつもより長く話した。

「長いシーズンたくさんの応援ありがとうございました。目標にしていたところに届かなかったのですが、選手はベストを尽くして頑張ってくれたと思います。この悔しさをバネにまた来年頑張っていきたいと思うので、これからも千葉ジェッツの応援をよろしくお願いします。ブレックスの選手・スタッフのみなさん、ブースターのみなさん、セミファイナルへの進出おめでとうございます。僕たちの分も頑張ってください。今日は本当にありがとうございました」

このとき、大野HCの去就を察した方も多かったのではないだろうか。私もその一人だった。だから試合後の記者会見で、改めてブースターのみなさんへのコメントをお願いした。
パーカー姿さえも話題となってしまう、大人気のヘッドコーチ
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「僕たちは、ブースターのみなさんに、たくさん支えていただいています。1年目にここ(船橋アリーナ)に入ったときには、恐怖とプレッシャーしかありませんでした。でもいまは、本当に選手の背中を押してくれますし、チームのことを本当に大切に思ってくれているので、なんとか結果を出して恩返ししたいと思って戦ってきました。それが叶わず、まずは申し訳ないという気持ちでいっぱいです。ただ選手たちはベストを尽くしてくれましたし、ベストを尽くし続けてくれると思いますので、来シーズンも千葉ジェッツを支えてください」

記者会見を終えた大野HCは、初めてテーブルを越え、記者席に歩み寄った。それは今日が最後だからだと、容易に想像できた。「ありがとうございました」と言って差し伸べてくださった手は、コロナ禍の前にハイタッチしたときと同じで、相変わらず冷たかった。そう言えば、「手が冷たい人は心が温かいんだよ」とあつしスマイルを見せたのは、いつのことだったか……。崩壊する涙腺に困惑しながら、そんなことを思い出していた。

そして後日、改めて御礼をかねてお話を伺うことにした。

《後編に続く》
おまけ。エステ翌日でお肌がツルツルだと思いながらシャッターを切った一枚……。
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