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路地裏のさんぽにん

第4回 東京都大田区 池上

東急池上線・池上駅周辺を歩く!

今回は、東京都大田区にある池上駅に下車します。
約720年前、日蓮大聖人が入滅(臨終)した霊跡、
日蓮宗大本山、池上本門寺がこの街にはあります。
かねてより、多くのひとびとが参拝に訪れ、
賑わってきたところ。門前町らしい活気の中にも、
ふとした落ち着きが感じられます。

今回のまちの表情

A. 安藤広重の「江戸百景」にも描かれた池上本門寺総門、奥に此経難持坂 B.国の重要文化財に指定されている五重塔 C. 相模屋の久寿餅 D. 本門寺には力道山の墓がある E. あるお寺の前にいた猫 F. お坊さんは思ったほど見かけない G. 池上会館の展望台から池上の街を望む。屋上は庭園になっている H. 花見煎餅吾妻屋の品川巻 I. 日だまりのなかで将棋をさす J. 蓮月庵 K. 本門寺境内のハト L. 「本」と入った本門寺の瓦 M. 落ち着いた佇まいの街角(萬屋商店) N. 大坊本行寺のお会式桜。日蓮聖人が入滅の際に花が咲いたとされ、現在でも毎年お会式の頃、花が咲く

おさんぽマップ

さんぽのポイント! (おさんぽマップ 1〜12)

その1 駅構内にある小さな踏切に、ほのぼの~

●東急線池上駅
 大正11(1922)年、本門寺参拝客用に東急池上線が開通。当時は、蒲田-池上間1.9kmを単線で走っていた(昭和3年、蒲田-五反田間開通)。池上駅はこじんまりとした、かわいい駅舎。下りホームに降りて、改札口へ向かうには、駅構内にある歩行者専用踏切を渡る(東急線で唯一の構内踏切だそう)。ローカル駅のような光景で、ちょっとうれしい。

その2 焼きたての本門寺あんぱんは、ほっわほわ!

●プチドルフィン
 1日に何回も焼く、”いつも焼きたて!”の本門寺あんぱんは、あったかくて、ほっわほわ。パクっと一口食べると、パンが口の中でとろける。こんなにしっとりしたあんパンは初めて。パンというより大福みたい?
 つぶあん、こしあん各110円。ほかにもオリジナルパン多数、どれもおいしい。お店のおかあさんがすごく元気!
電話03-3754-4911
■大田区池上6-10-12
■5:00~20:00
■木休

その3 お土産に、量り売りのせんべいはいかがー

●花見煎餅 吾妻屋
 国内産の黄金餅を使ったオリジナルのせんべいを自家製造。
 店内に入ると、「品川巻」「胡麻っ子」「鬼あられ」「唐がらし丹尺」など、それぞれがぎっしりと収まったせんべいケースが。なんと、せんべいの量り売り! わー、どれにしよう?
 お茶漬けの中に入っているような、細長い棒状のせんべい「松みどり」がめずらしい。ぱりっぽりっと香ばしく、あー、しぶーいお茶がほしーい!
電話03-3751-1882
■大田区池上4-32-8
■10:00~19:30
■4のつく日休(土日の場合は月休、祝の場合は次の日休)

その4 池上には、おいしいくず餅店があるんです。

●相模屋
 池上には、代々受け継がれているくず餅店が3軒ある。なかでもオススメなのは、このお店。
 享保年間創業で、現在12代目。ずしりとくる箱のなかに、「久寿餅」がきらり。弾力のあるきゅろっきゅろっとした歯ごたえに、むふふ。とろりとかけた黒蜜も、あとをひくおいしさ。大満足。
 1箱 400円より。店内でもどうぞ。
電話03-3752-4757
■大田区池上4-25-7
■9:30~17:00(売り切れしだい)
■不定休

その5 お経のCDは、なかなか手に入りませんよね

●日蓮宗新聞社のお店
 本門寺へ参拝に来たら、このお店にも寄ってみよう。日蓮宗の書籍、経本、ビデオ、CD、信行行衣L,Mサイズ各 5000円、数珠など、”信行用品”がそろっている。
 お経の練習用CD「勤行要典」や、シンセサイザー演奏と読経・声明をセッションさせた「法華の香風」、お経とサンバ(!)をミックスした「Gyo〈行〉」などのCDは、ほかではなかなか手に入りませんよね。ぜひぜひ。
電話03-3755-6462
■大田区池上4-18-1
■10:00~16:00
■土日祝休

その6 タイヘン疲れますが、マナーは守ります。

●此経難持坂(しきょうなんじざか)
 本門寺の総門をくぐると、見上げるほどの96段の石段。一番下の石柱に「左がはのぼり、右がはくだり」、上の石柱に「左がはくだり」。ぜえぜえ言いながらも、参拝者、トレーニングウェアの高校生、散歩する犬、みんなマナーを守って上り下り。
 タイヘンだーと言うひとは、隣にある「女坂」へ。こちらの階段はなだらかで、161段(たぶん)。途中ベンチがあり、植物も楽しめる。
 これもタイヘンだーと言うひとは、エレベーターありの「池上会館」へ。屋上と境内がつながっている。

その7 本門寺の大堂は、いろいろな迫力満点!

●本門寺 大堂
 此経難持坂をクリアし、山門をすぎれば、目の前に巨大な建物が現れる。総面積820坪、高さ28メートル。山のような屋根に連なる瓦が美しい。その屋根から飛び立つのは、百数十羽のハト。「はとのエサ」50円の容器をもっただけで、いっせいにやってくる。人間慣れしているため、平気で頭や肩にのる。えーん。
 大堂内の川端龍子画伯による天井画「未完の龍」は、気迫に満ち、思わず息をのむ。ハトより龍。
電話03-3752-2331(本門寺)
■大田区池上1-1-1
■5:30~17:00(大堂、ご祈願の受付は10:00~15:00)

その8 お線香は、あまーいコーヒーの香り

●本門寺 花峰
 本門寺の境内にある生花店には、お土産も並ぶ。
 なんだこれは? と目にとまったのは、「珈琲の香りのお線香 残香飛(ざんこうひ)」1000円。喫茶店のというより、砂糖入り缶コーヒーのような、あまい香りがするという。
 「かんこうひ」? 「煙ひかえめ」? まったく、おちゃめなお線香です。とくに男性に支持を得ているヒット商品だとか。
電話03-3754-9944
■9:00~17:00
■無休

その9 やすらぐには、がんばらなければいけない

●松濤園
 小堀遠州の作庭。西郷隆盛と勝海舟が江戸開城について会見した場所とも伝わる。
 とてもやすらげる、いいお庭なんだが、散策するには、再びタイヘンなことをしなければいけない。リーフレットにある本門寺に関する11の問題に答え、全問正解しなければ、見学券がもらえないのだ。眺めるだけだったら、「朗峰会舘」のロビーかレストランからでも可だけど。
 ちなみに、外塀を伝っていくと、庭園内の笹竹が、どうなっているのかわからないが、塀の外にハミ出ている。
電話03-3752-3101(朗峰会舘)
■10:00~16:00(見学できない日もある)

その10 とにかくお寺が多いから、スタンプラリーへGO!

●池上の寺めぐり
 かつて、本門寺の周りには、参拝者が宿泊する宿坊があった。当時は「支院」と言い、今では「朗師講」と呼ばれる24のお寺が残っている(ほんとーに、お寺だらけの街なんです)。
 この24のお寺をまわるスタンプラリー「池上の寺めぐり」をするのも楽しい。スタンプ帳は、本門寺通り商店街や寺院、本門寺で配られている。またまたタイヘンだけど、全部まわったら証明書をもらえるんだって。
電話03-3752-2331(本門寺)
■9:00~16:00

その11 その頃、ざるは15銭、月見は35銭・・・

●蓮月庵
 木造築80年のおそば屋さん。かつては、2階の32畳の広間で、連日、法事や宴会が行われていたそうだが、今は1階のみを使用。長年、参拝客たちのお腹を満たしてきた。
 壁には、昭和6(1931)年頃のメニューがそのまま。ざる15銭、月見そば35銭、カレー南ばん35銭。今は、ざる550円、月見そば600円、カレー南ばん650円。
 雰囲気たっぷりのお店。一杯呑みながら、まったりしたい。
電話03-3755-4170
■大田区池上2-20-11
■11:00~19:00

その12 梅の季節は混雑していますが、ねらいめは……

●池上梅園
 8500平方メートルに30種300本の梅が咲き競う。
 1月から蝋梅が咲き始め、見頃は2月中旬より。梅花に囲まれた通路や、一面を見渡す見晴らし台からの景色は壮観。茶室、庭園も趣がある。
 「朝と夕方がねらいめ。梅の香りがぷーんと漂っているよ。人がたくさんいるときは、香りがとんじゃっているからね」と、庭師の方。いいこと聞いちゃった。
電話03-3753-1658
■大田区池上2-2-13
■9:00~16:30(入園は16:00)
■月休(2、3月を除く)
■大人100円、小人20円、65歳以上無料

さんぽを終えて……

平間街道を通って多くの参拝客が訪れた門前町

池上は門前町です。江戸時代、日蓮宗大本山、池上本門寺へは、品川から川崎の平間を結ぶ平間街道(旧池上道)を通って、多くの参拝者が訪れました。街道沿いには、茶屋、くず餅屋、宿屋などが並び、行き交う旅人を迎えたと言います。

 くず餅の相模屋の角には、徳川5代目将軍綱吉の時代に建てられた道しるべがありました。石柱の一面に「これより左かわさきみち」、もう一面に「これより右こすぎみち」と彫られ、案内板には、「相模屋初代山本彦兵衛の往時より代を重ね、ひたすら皆様にご奉仕して参りました」と、道しるべについて書かれています。

 相模屋の奥さんに話をうかがっていると、タクシーの運転手さんが道を聞きに降りてきました。「今でもこのお店は、道しるべなんです」と、微笑む奥さん。池上駅から本門寺へ向かう本門寺通り商店街と、かつての平間街道の交差点にある相模屋は、時を経ても変わることなく、この街にとって重要な役割を果たしているのです。

地域の人々の心のよりどころとなってきた池上本門寺

大正11年に東急線が開通すると、参拝客は電車に乗ってくるようになります。そのため、池上駅前から参道へ続く本門寺通り商店街が、今度はにぎやかになりました。

 「ここの道はもっと細くってね、農道だったんだな。だから、この商店街は曲がりくねっている」。本門寺通り商店街に60年という花見煎餅吾妻屋のご主人が話をしてくれます。「子どもの頃、本門寺の境内は森みたいで、池に沢蟹がいた。湧水がちょろちょろ流れていて、化石も出たなぁ。昔は、すぐそこが海岸線だったっていうからね」。

 戦争で空襲に遭い、本門寺の大堂などが焼失するほか、池上は焼け野原になったそうです。「でも、本門寺の存在が、みんなの心の支えになったんだよ」。

 おそば屋さんで会ったおばさんが、「このあたりのひとは、『お山に行ってくる』と言って、よく、本門寺さんに親しんでいるの」と話していたのを思い出しました。この街のひとたちにとって、本門寺は、心のよりどころなのでしょう。

 池上は、山の手の雰囲気がありながらも下町的だと、花見煎餅のご主人が続けます。「本門寺があるから、昔から大工や畳、障子の職人が大勢住んでいた。ざっくばらんで、物価も安いんだ」。

毎年10月にはお会式が行われ、静かな寺町が人波に埋まる

門前町の賑わいがある一方で、寺町としての静けさと落ち着きも、池上にはあります。「静かだし、環境に恵まれている。生活するには、池上はいいって、よそに引っ越した人はみんな言うね」。

 さて、毎年10月11~13日は、「お会式」とよばれる、日蓮聖人の命日の法要が行われます。30万人の人出があり、本門寺の境内や本門寺通り商店街、池上通りは、人波に埋まるそうです。きっと、この日は、池上のまたちがった表情を見ることになるのでしょう。


次回は、営団地下鉄東西線の駅周辺を歩く予定です。
*04年1月にお散歩しました。お店などの内容、データは変更されることがあります。

路地裏のさんぽにん 文・写真・地図/森田奈央

お天気のよい日には、いつもと違う駅に下車して、
街をぷらりと歩いてみましょうか。

路地を一本、ひょいと入っていくと、
知らなかった日常に出会えるかもしれませんよ。
森田奈央●路地から路地へ散歩するライター。ちなみに、散歩中によく出会うのは猫。どうも猫を呼ぶ体質らしい。著書に「ネコ路地へ行こう」(小学館文庫)がある。