船橋市では、市内医療機関からの梅毒の届出数が増加しています。
(届出数とは、船橋市内にある医療機関が船橋市保健所に届け出た件数です)
2023年には71件の報告があり、過去10年間で最も多い届出数でした。
年齢は、例年20才代から50才代が多くを占めています。
2023年の年齢、性別の内訳をみると、女性では20歳代が突出して多く、男性では20歳代から50歳代が多くなっています。
梅毒は、セックスなどによってうつる感染症です。
感染部位と粘膜や皮膚の直接の接触で感染します。具体的には、性器と性器、性器と口の接触(オーラルセックス)、性器と肛門(アナルセックス)等です。
原因は梅毒トレポネーマという病原菌です。
検査や治療が遅れたり、治療せずに放置したりすると、長期間の経過で脳や心臓に重大な合併症を起こすことがあります。また、妊娠中に感染すると、生まれてくる赤ちゃんに早産・死産・先天性梅毒による後遺症などを引き起こすリスクがあります。
梅毒は早期の薬物治療で完治が可能です。しかし、完治しても、感染を繰り返すことがあるため、再感染の予防が必要です。
梅毒は保健所で無料・匿名で検査できます。感染の早期発見・早期治療のために、感染の気になる方は検査を受けましょう。
感染したあと、経過した期間によって、症状の出現する場所や内容が異なります。
第Ⅰ期: 感染後約3週間
初期には、感染がおきた部位(主に陰部、口唇部、口腔内、肛門等)にしこりができることがあります。また、股の付け根の部分(鼠径部)のリンパ節が腫れることもあります。痛みがないことも多く、治療をしなくても症状は自然に軽快します。
しかし、体内から病原体がいなくなったわけではなく、他の人にうつす可能性もあります。
第Ⅱ期: 感染後数か月
治療をしないで3か月以上を経過すると、病原体が血液によって全身に運ばれ、手のひら、足の裏、体全体にうっすらと赤い発疹が出ることがあります。小さなバラの花に似ていることから「バラ疹(ばらしん)」とよばれています。
発疹は治療をしなくても数週間以内に消える場合があり、また、再発を繰り返すこともあります。しかし、抗菌薬で治療しない限り、病原菌である梅毒トレポネーマは体内に残っており、梅毒が治ったわけではありません。
アレルギー、風しん、麻しん等に間違えられることもあります。この時期に適切な治療を受けられなかった場合、数年後に複数の臓器の障害につながることがあります。
晩期顕性梅毒(感染後数年)
感染後、数年を経過すると、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような腫瘍(ゴム腫)が発生することがあります。また、心臓、血管、脳などの複数の臓器に病変が生じ、場合によっては死亡に至ることもあります。
現在では、比較的早期から治療を開始する例が多く、抗菌薬が有効であることなどから、晩期顕性梅毒に進行することはほとんどありません。
また、妊娠している人が梅毒に感染すると、胎盤を通して胎児に感染し、死産、早産、新生児死亡、奇形が起こることがあります(先天梅毒)。