編集部のつぶやき(千葉・船橋・市川・習志野・鎌ケ谷)
「消えゆく銭湯文化を残すために」3度目のリニューアルオープンへの想いを伝えたい
千葉経済大学、千葉大学近くの住宅街 洋風なお洒落な外観が目を惹きます
JR西千葉駅から徒歩10分ほどの轟町にある銭湯、「千葉の隠れ湯 ビバークランド」さんへお邪魔してきました。
2021年9月、リニューアルオープンして話題になりました。また、県内唯一の薪サウナの導入や家族風呂など、ここでしか体験できない銭湯体験が味わえる場所です。1年1か月にわたる工事を終え、次々と進化を遂げるビバークランドは一体どんな銭湯なのでしょうか。
それらの新しい挑戦の裏には、オーナーの熱き銭湯への想いが燃え盛っていました。
浴室(女性) 掃除は男女合わせて6時間 ピカピカに仕上げます
今回お話を伺ったのは、ビバークランドの店主・佐藤祐之(69)さん。
リニューアルオープン、そして銭湯への熱き想いをたくさん伺いました。
県外からお客さんが来るほど人気の銭湯ビバークランドは昭和30年2月創業。
一見新しい銭湯に見えますが、歴史ある銭湯なのです。
天然地下水を使用した泉質の良さがこだわり。
ちょうど良い水温でゆっくりと浸かることができます
軟水8.2phの柔らかい水は、芯からよく温まると評判だそう。
「かけ流しの湯」であるため、都会にいながら温泉気分が味わえるのも嬉しいポイントです。
勢いのあるジェットバスでリラクゼーション効果♪
ジェット湯、バイブラ湯、電気風呂で疲労を癒し、外に隣接している本格的な岩風呂の露天風呂で、心地良い風を感じながらゆっくりお湯に浸かる…これ以上の幸せはありません。
露天風呂(女性) 外からの気持ち良い風が吹き抜けます
先代から引継いだのは昭和51年、佐藤さんが23歳の時。
「このままではお客さんが来なくなってしまう!」
銭湯の未来に対する危機感を持ち、引き継いですぐに1億円を投資。銭湯の建物を3階建てにリニューアルしたそう。
銭湯がまだ下火になる前の時代に、危機感を持つのが早くて驚きます。
昔ながらの情緒が残る入り口の番台は、平成元年に現在のようなフロント式に改装されました。
今回のリニューアルで温かみのあるフロントに
右側ではオリジナルグッズも販売中
ビバークランドは県内で初めての取り組みも積極的に行っています!
薪サウナは、佐藤さんのお話によると、関東の銭湯で初の導入。数が少ない、珍しいサウナが西千葉で体験できるのは嬉しいですね。
薪サウナの特徴は、薪で焚いているので自然喚起をされていて、湿度があること。やわらかい空気が、一般のサウナと違って息苦しさが無く、薪が燃える音と炎がゆらぐ光景に和みます。
そのため、身体だけでなくメンタル的にも良いサウナなのだとか。また、温度が低くても体の芯まで温まります。
評判を聞き、神奈川県や埼玉県からもお客さんが訪れ、土日は特に賑わうそうです。
セルフロウリュウも出来ます!
一瞬にして熱波が来るその瞬間に、何も考えられなくなるのが幸せとのこと。
女性専用薪サウナの室内 柔らかな熱に芯から温まります
薪は佐藤さん自ら休日に山へ行き、6トン近く伐採したもの。
今後、薪ボイラーの導入も考えているそうです。現在は薪サウナは女性専用ですが、男性用も設置する予定です。
地球にも身体にも優しいサウナ、ぜひサウナがお好きな方に訪れていただきたいです。
千葉県銭湯初の女性専用薪サウナ 6月1日より実施
お子様連れのお客さまの「家族でゆっくり銭湯でくつろぎたい」などの声から、家族風呂も導入しました。こちらも県内の銭湯では初の試みです!
銭湯を貸切にする「家族風呂」は、今まで千葉県で前例が無かったため、許可が下りるまで大変だったそうです。
広々とした銭湯を贅沢に貸切。家族でゆっくりと過ごす銭湯の時間、皆さんもいかがですか♪
脱衣所・洗面台も広々! 清潔感のある雰囲気です
その他に、洗い場の天井や脱衣所のクロス、トイレなどを清潔感第一で改装。
今回、雰囲気をガラッと一新したロビーは、「家のようにくつろげる空間」にしたかったそう。
湯上り後、休憩スペースでのんびりと
休憩スペースには、電源付きテーブル席やソファー席があり、湯上り後にのんびり過ごすのも良いですね。
フロント前には、牛乳瓶やジュース、お酒などたくさんの飲料が並んでおり、お風呂上りの一杯にぴったりです。
ジュースも種類豊富! 瓶ジュースや瓶牛乳、水素水(10円)など
手作りプリン「クッキーズプリン」販売
佐藤さんは、「銭湯が無くなったら世の中が荒れる」と銭湯が地域の人々の健康促進に役に立っていると考えています。
お風呂が一般家庭に普及した現在、銭湯に入る必要が無いと考えている方も多いのではないでしょうか。しかし、銭湯では知らず知らずのうちに、私たちの身体を健康にするポイントが隠れているのです。
銭湯は、家庭のお風呂場に比べて浴室空間が広いです。広々とした湯船で両手両足を思いっりき延ばして動かすことで、筋肉を適度に刺激、血液循環が良くなります。
銭湯の湯温は42度以上が一般的であり、身体が芯から温まります。体温が上がることで、免疫力もアップするといわれています。
銭湯は「裸の社交場」として古くから親しまれてきたように、大勢の人と一緒に入浴することで、孤独感を紛らわせ、精神的に良い刺激を得ることができます。また、大勢の目があるため、高齢者の入浴中の事故も回避できるのです。
コミュニケーションを大事にしていることが伝わる看板
現在、全国で営業している銭湯は約1900軒。
千葉県では昭和40年代には約380軒存在した銭湯も、今や40軒弱しかありません。
そのため佐藤さんは「今、銭湯に入れるうちに入ってほしい、絶滅危惧種になっている。数十年後には銭湯が無い時代になるかもしれない」と銭湯が減少することへの危機感を募らせています。
レトロな看板
スーパー銭湯(特殊公衆浴場)は「娯楽が目的」であるため開業ができますが、「地域住民の健康促進が目的」である昔ながらの銭湯(普通公衆浴場)は法律上、新しく開業することが許されていません。
そのため、現在閉業すると二度と銭湯を復活させることができないのです。
銭湯の文化を守るため、佐藤さんをはじめ各地の銭湯同士で、情報交換をSNSで活発に行っているそうです。
「費用を惜しまず、それよりも訪れるお客さんに喜んでほしい」
銭湯の文化を守るため、多くの方が銭湯に訪れる仕掛けを考えているそうです。
予算を抑えるために、ロビーの机やサウナは佐藤さんの手作り! だから温かみがある雰囲気なのですね。
下足箱の鍵にはひとつひとつ手書きのメッセージ入り 心が温まります
良い銭湯を目指すあまり、工事期間は当初予定していた時間よりも遅れてしまったそう。
ファンの間では、再オープンを待ち望む声が多数ありました。
取材に訪れた日も、平日にもかかわらず、開店前から多くの方が待っていました。
近隣には、千葉大学、千葉経済大学をはじめとした学校施設があり、学生の銭湯利用も多いそうです。
実は、現在も引き続き一部改装中とのことで、今後の展開も楽しみですね!
佐藤さん「銭湯に入って生きてて良かったと思う気持ちは共通。銭湯に入ればどんな人も皆平等だし、イライラしなければ喧嘩しないよね」
銭湯に入って、身体も心もポカポカに。冷え性、日々パソコン作業が多くて肩凝りに悩む方など、ビバークランドの温かいお湯に浸かってリラックスしませんか?23時まで営業しているので、仕事帰りでも安心です。
西千葉駅から徒歩10分のビバークランドへ、ぜひ足を運んでみてください。
住所 | 千葉県千葉市稲毛区轟町1-8-5 |
電話番号 | 043-287-3636 |
営業時間 | 15時~23時 |
定休日 | 火曜日・水曜日 |
公式サイトURL | https://www.bivouac-land.com/ |
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。