以前来院された患者様のエピソード、これまでに書いたニュース投稿の中で、脳と痛みの繋がりを書いてきましたが、具体的に、特に印象に残っている実例をご紹介します。
その方は、手首の痛みを訴えて来院された患者さんでした。
お話を聞くと1ヶ月くらい前に自宅の外で転んでしまい、手をついて怪我をしてしまったとのこと。
この後あまりにも痛くて、体を動かすのも手首に響いて辛く、救急車で運ばれるのですが、その後のエピソードも忘れられない話なので、それは明日書きます。
そんなこんなで1ヶ月が経ち、怪我も治ってきたはずなのに痛みが引かない。
いつも行っている掛かりつけの、外科も見られる内科さんにこの事を相談したら、整骨院を紹介されて来院されたという事でした。
病院としての判断は「怪我は治っている」と言われたそうですが、痛みはある。
それも何気なくテレビを見ていたら急に手を押さえるくらい痛くなる。
立とうとしてケガした手をついて負荷を掛けたわけでもなく、何も刺激を加えていないのに、激しく痛み出すことがある。
ある特定の場面になると何故か手首が痛くなる。
刺激に対しても痛みはあり、ドアを開けられない、鍋など重いものは持てない、それどころか箸を使うと痛くなるので、スプーンを使っていた。
しかし、話を聞くと痛みの出る場面がどうも怪我によるものとは考えにくく。
その方の痛みが出る場面は妹さんからの電話でした。
会話をすると何故か手首が痛くなる。
そして、原因が分からず手首が痛くなり、痛み止めもあまり効かない。
これは、手首を痛めた事によって脳に強い記憶が残り、不安やイライラが募った時に痛みの回路を刺激してしまって痛みが発生しているのだと思われます。
その方に対して私の行った治療が「対話」です。
来院されたら今日の状態を確認し、動きをよくする体操をします、そのあとはただ手首をさすりながら話を聞くだけ。
通って頂いた最初のうちは体操をしていましたが、後半は体操もしませんでした。
話したい事をただ頷いて聞く事に徹します。
そして、まだここは治っていないのではないか、この痛みは一生取れないのかも、といったことに対して、分かりやすく状態を説明して、こうしたら治る、そのために今何をしていて、家ではどういう事に気をつけましょうと提案をしていました。
とにかく、誤った認識、マイナスなイメージを一つ一つ納得してもらえる説明で消していくのです。
以前に書きましたが、不安と恐怖を感じる脳の領域は痛みも感じることに関与しています。
不安とは、ダメかも、というマイナスなイメージだけでなく「分からない」時にも発生します。
脳は「考えなくて良い」事に安心します。
「分からない」事には不安や苛立ち、恐怖を感じます。
この「分からない」が痛みに繋がる事があるのです。
その患者さんには結局、体を調整する治療はほとんどしていません。
とにかく手をさすりながら「分からない」事に答えるようにしていました。
結局それで痛みを感じる瞬間が徐々に減っていき、最終的にはドアも開けられるし、鍋も持てるし、箸も普通に使えるようになりました。
実はこの発生の仕組み、昨日紹介したイップスと似ているところがあります。
その辺も絡めた話題はまとまったら書こうと思いますので、少々お待ちください。
今回のような話をして「分からない」を解消する事は慢性の痛み、原因の分からない痛みに有効で、とても大事にしています。
こういった出来事はたまにあって、治療を受けていない方でも相談だけされる事もよくあります。
当院にも、知人が訪ねて来たり、紹介で来院された方が、自分の事や、さらに自分の知り合いを紹介していただける。
そんな時に、まずは対話と相談から入ります。
症状は何が原因なのか、整体院で治してもらえるのか、他に行くならどこを受診するべきか、など話をして納得していただいた上で施術をします。
予約もその相談を受けたあとに取っていただくこともあります。
現在、その相談に対応する施術メニューを検討しています。
病気や怪我の疑問、痛みはどうして感じるのか、この院に来たら何をしてもらえるのか、そういったことも質問したり、施術を受ける前に話をする時間があれば「分からない」不安が一つでも解消出来るのではないかと考えております。
内容がまとまりましたら、またご報告致します。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
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