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編集部のつぶやき(千葉・船橋・市川・習志野・鎌ケ谷)

【閉店】70年にわたり船橋で愛された 江戸前千葉海苔の老舗問屋「味と信用の船福本店」が無期限休業

昭和・平成・令和と3つの時代をかけて「船橋産海苔」のブランドを作り上げてきた船福

2023年2月28日 市民に惜しまれながら閉店

2023年2月28日で閉店した味と信用の船福本店。

創業から70余年にわたり、船橋産海苔の普及に尽力してきた歴史を紐解きながら、会長の篠田好造さん、代表取締役社長の好司さん、副社長の貢一さんに、当時の思い出や閉店が決まってからのことをうかがいました。

会長の篠田好造さん(真ん中)、代表取締役社長の好司さん(右)、副社長の貢一さん(左)

海苔の需要が増え始めていた昭和27年 乾海苔問屋「株式会社船福」を設立

湊町小学校の隣にあった自宅兼店舗から本町4丁目に移転した当初の本店

大正10年から屋号「船福」で海老川で漁師を営んでいた篠田家。

昭和27年に、当時三番瀬に広まってきた海苔の養殖に着目して、篠田五郎さんが乾海苔問屋 株式会社船福を設立。

 

船福海苔店の看板は、漁で使っていた船板を焼き板にして作ったそう。創業当時のまま、現在も店内で大切に飾られています。

農閑期になると、長野や青森から毎年10人くらいが船福へ出稼ぎに

前列左側より 2番目に好造さん(会長)、3番目に福松さん(創業者)

4番目でお子様を抱えているのが五郎さん(初代)

好造さん「当時は1階がお店、2階が自宅兼工場を兼ねていたので、半期奉公の男の人達がいてとても賑やかでした。毎年出稼ぎに来てくれる人たちが、少しずつ船橋に移住するようになり従業員として活躍してくれました」

船橋市本町4丁目に移転後、昭和30年代後半に自社ビルを新築

昭和40年~60年頃 船橋の大型商業施設開業にあわせて各地に出店

当時の北習志野駅前エール銘店街店

ちょうど昭和53年は、江戸前千葉海苔の生産量が最盛期を迎えた時代。

 

ららぽーと船橋そごう、船橋西武百貨店、東武百貨店船橋店などの商業施設開業にあわせて支店を出店。

船橋、八千代、習志野市内に最大9店舗を構えていたそうです。

船橋産海苔のイメージをよくしたい! ギフトや進物に選ばれる海苔へ

船橋市の人口も8万人から60万人に増えてきたころ

好造さん「東武百貨店に出店当時、5~6軒くらいの海苔屋が軒を連ねていました。

 

当時はまだ船橋産海苔の知名度が低く、船福でよく買ってくれるお客様も、お歳暮などの進物用は他のお店で購入する方が多かったです。ギフト用はやはり知名度が大事になってきますから。

 

味では絶対に負けていないと確信していたので、そこから船橋産海苔の知名度UPに力を入れていきました。平成に変わるころには売上トップになれてとても嬉しかったです」

船橋産海苔をもっと気軽に! おにぎり海苔「江戸前海苔むすび」を平成17年に発売開始 

消費税や原材料が上がっても、1個100円(塩むすびは80円)で販売

船橋市場が駅前から現在の場所に移転後、周囲も飲食店が多くなり環境が変わってきたので、船福本店も船橋市本町6丁目にお店を平成17年に移転。

 

住宅街だったこともあり、もっと気軽に船橋産海苔に親しんでもらおうと新商品「江戸前海苔むすび」の販売を開始しました。

 

それまではハレの日に寿司で食べるイメージが強かった船橋産海苔を、若い世代の家族連れをはじめ子どもが1人で百円玉をにぎりしめて買いに来てくれるようになったそう。

創業当時からずっと船福を見守ってきた 看板たぬき「ぽんぷく」

左端に看板たぬき「ぽんぷく」が!

船福本店といえば、看板たぬきのぽんぷく。仮装を始めたのは、意外にも近年になってから。

 

15年前入社した好司さん(社長)が、お店の郵便受けの下に置いてあったのをみつけたのがキッカケ。

裸の状態だと、たぬきの顔が怖そうに見えたこともあり、お祖父ちゃんの帽子を被せてあげたそう。

 

その後、会長の奥様が季節やイベントに合わせた着せ替えを行っていました。

そして4年前くらいから、ハンドメイドが得意だった貢一さん(副社長)の奥様が、手作りの衣装をつくって今の仮装スタイルに。

クリスマスはサンタ、節分に鬼、コロナ禍ではアマビエ様と、お店の前を通る人を和ませてくれました。

ぽんぷくの衣装が変わるたびに話題に

閉店を迎えるまでの一か月、行列ができるほど多くのお客様が来てくれました

貢一さん「『船福はずっとあるものだと思っていた』と多くのお客様に声をかけていただきました。

記念日に船福の海苔を毎年購入したり、贈答用にご愛顧いただいた方を裏切ることになってしまったので、無期限休業することにとても申し訳ない思いがあります」

 

好司さん「江戸前海苔の生産量減少や生産者の高齢化、東日本大震災をキッカケとした加工場の老朽化問題もあり、無期限休業という形で歩みをいったん止めることになりました。

 

閉店を迎えるまでの一か月、想像以上に多くのお客様が会いに来てくださいました。

 

得意先で涙ぐんでくれる方、手紙を書いてきてくれたお子様もいて、これまでやってきたことの重みを改めて痛感しています。ここまで支えてきてくださった皆様にとても感謝しております。ありがとうございました」

船福 船橋市卸売市場店は2023年4月末に閉店へ

 

現在の船福本店の建物も老朽化のため、2023年6月に取り壊され新しい建物になる予定です。

1階のテナントには、船橋の地域活性化につながるようなお店にぜひ入ってほしいとおっしゃっていました。

 

「味と信用の船福本店」は無期限休業になりますが、株式会社船福で、船橋産海苔とはまた違った地域に愛されるものを目指していきたいと力強くお話しされていたのが印象的でした。

 

今後のチャレンジをまいぷれ編集部も応援しています!

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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